Webデザイナーの小久保です。
イケイケ系のWeb制作会社がよく使ってる(という大いなる偏見)サービスに、Trelloというタスク管理Webサービスがあります。
Trello
Trelloは一言で言うとタスクと進捗の可視化Webサービスです。
チームでも個人でも良いんですが、
こんな感じでボードに各タスクをカード化して割り振ります。
各メンバーはタスクが終わったらカードを完了のところにポコっと持っていきます。↓のような感じ。
誰に、どんなタスクが、どれだけあって、どれだけ終わったかと言うのが一目瞭然になる素敵なサービスです。
ただ、これ。うまく運用しないと誰も使わなくなる可能性大です。結局使わなくなったボードとカードが乱立し、「最終更新は去年」みたいなことになりがちです。
色んなサイトのTrello活用術を見ると、単純なタスク管理サービスとして使う他に、アイデアの共有だったり、ブレーンストーミングのネタ出しだったり、色んな活用法があるみたいです。いずれにせよ、ちゃんとした運用方針がないと、形骸化することは間違いない。
クールなサービスなのでできればめっちゃ使いこなしたい! そしてなんかかっこいい感じに開発したい! と思うのがイケイケ系Webデザイナー(に憧れる)僕です。色々模索していたところ、類似サービスで良い感じのを見つけました。
KanbanFlow
KanbanFlowはTrelloとかなり似たタスク管理サービスです。と言うかほぼ同じや。
ただ、KanbanFlow独自の良い所が多々あります。今回はKanbanFlowを使うと、以下の素敵な未来が実現できると言う紹介記事を書いてみます。
KanbanFlowのタスク時間計測機能 ~ポモドーロテクニックが熱い~
(小久保の個人プロジェクトのボード)
タスクをボードにポコポコ貼り付けていく形はTrelloと同じです。タスクの進捗把握、担当割り振りなどの基本の機能もTrelloとほぼ一緒です。
が、が、が、
特筆すべきは、各タスクで時間計測ができると言う点です。
ユーザーはKanbanFlowの計測機能を使って、「ポモドーロ」という「25分+休憩5分」を単位でタスクを選んで、集中してこなしていくという形をひたすら繰り返します。
各タスクをこなす際にタスクを選んでポチッとスタートボタンを押すと、タイマーが作動し、そのタスクに時間が計上されていきます。
同僚からの雑談、メールチェック、ツイッターのつぶやきをチェックする(おい)など、タスクを妨げる事象があった場合は即座にタイマーをStopし、そのポモドーロをリセット。
25分間継続してタスクに取り組めればポモドーロ成功で、1ポモドーロがタスクに計上されます。その後の5分の休憩時間中は、このブログのサーチコンソールを確認して悦に浸ったり、ツイッター見たり(おーい)。ノッていれば休憩を中断して2ポモドーロ目にとりかかったりと臨機応変に活用していきます。
1日にどのぐらい価値のある仕事をしたかが可視化される
ポモドーロタイマーを使ってタスクをこなしていくと、
こんな感じで、各タスク、各日にちにどのぐらいのポモドーロを創出できたかを見ることができます。
これはポモドーロですので、本当に集中した時間がどのぐらいかを計上しています。1日に10ポモドーロ程度ができれば、ちゃんと仕事したなという感じです。
おいおい小久保よ。1日の仕事は8時間(480分)もあるんだぞ。理論上16ポモドーロできないとおかしいじゃないか。ツイッターばっかやってっから10ポモドーロなんてお粗末な数値になるんじゃないの? とお叱りの言葉を投げかける方もいらっしゃると思いますが、ここはソフト開発者のバイブル「SOFT SKILLS」から引用をば。
実際には、1日に16ポモドーロをこなすのは、12時間仕事をしたとしても、とてつもなく大変である。
…
日中は時間がどんどんと消えていくこと、昼間の大半の時間で集中を保つためにはとてつもないほどの精神的緊張と意欲が必要なことに驚くだろう。今私は1日に10ポモドーロという目標を立てているが、それでも非常に骨が折れる。この目標を達成するために8時間以上かかることがよくあり、どうしてもここまで達しない日もある。ジョン・ソンメズ. SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル
第4部 生産性を高めよう
考えてみれば、開発者が25分集中するのはとてつもなく大変です。個人の集中力の問題もありますが、バグチケットの通知だったり、クライアントからのメールだったり、チャットで話しかけられたり、PMが30分に一回ジャマ進捗確認してきたり(注. アールズにはそういう素敵なPMはいません)。ツイッターに「いいね」ついたかも気になりますよね(給与泥棒)。
このように、あらゆる方面から作業中断を余儀なくされます。SOFT SKILLSでも論じられていますが、人間はさあ仕事を始めるぞ! と気合を入れたらすぐに5速で走り出せるわけではありません。止められたらまた1速から徐々に走っていくわけです。時には数時間1速のままの状況もあるでしょう。
そんな中の、確実に集中した10ポモドーロ(250分)の達成度と言ったら。皆さんも一回やってみてください。はじめのうちは、マジで6ポモドーロぐらいしかできないので。
このポモドーロタイマーを使って仕事をすると、明確にサボった日、頑張った日が可視化されるため、自分の作業効率化を真剣に考えるきっかけになります。
自分の工数見積もりにも役立つ
この記録は個人の作業効率の把握だけでなく、ソフト開発にも役立ちます。なぜならどんな作業に正味何時間かかったかが実績として残るからです。その実績をベースに、別のプロジェクトの正確な見積もりが出せるようになります。
例を出してみましょう。
これは小久保個人のプロジェクトのタスクカードです。作業内容は、Webサイトのトップページをデザインカンプからhtmlに起こし、Wordpressのテンプレートにするというもの。
「Time spent 7h 14m」とありますね。
実質手を動かした時間が正確に記録されています。これを見て、同じような案件がきた場合に下記のように見積もることができます。
「デザインカンプが用意されている、やや凝っているトップページだと」
「これだけに集中して16ポモドーロ(8時間)ぐらい手を動かしたら」
「完成できる」
「1日に10ポモドーロやるとして」
「まあ色んな妨害や仕様変更があると想定しても」
「2.5日もあれば確実に」
「Wordpress化できるかな」
という感じで、過去の実績から明確に工数見積もりと線表引きができます。
実際にはこんな単純にはいきませんが、指標になることは確実です。
(サブ役得)bitbucketやgithub、Redmineなどにチケット登録されたら自動でタスクを作成する
ポモドーロタイマーとタスクを紐つけることで明確にメリットを感じられるので、KanbanFlowであれば利用し続けようというモチベーションが保てます。
ただ、そうは言っても、タスクボードが形骸化する要因はたくさんあります。その一つに、メインのバグ票とちゃんと連携していないことが挙げられます。バグが出るたびにいちいちRedmineにチケット起票して、さらにそれをTrelloやKanbanFlowに手入力してってやってたら、誰も使わなくなります。
そんな時にZapierが便利です。
zapierは色んなWebサービスを連携してくれるサービスです。
例えば、下記のような使い方ができます。
- Bitbucketに課題が登録されたら、KanbanFlowやTrelloのボードにタスクを追加
- Redmineでバグチケットが登録されたら、Google spreadシートに入力する。ついでにSlackやChatworkに通知する。
などなど、めちゃくちゃ色んなサービスと連携しており、使い方は無限大という感じ。
僕も、Bitbucketで課題が登録されたらKanbanFlowにタスクを自動登録するように設定しています。で、そのタスクでポモドーロタイマーを使っていけば、バグや要件追加に対して正確に工数を記録できるので、さらに今後の見積もりに利用できるというわけ。素敵でしょ?
チームでKanbanFlow+ポモドーロテクニックを使ったら良いことづくめだと思われる
今は試験的に僕個人でKanbanFlowを使っていますが、ゆくゆくはプロジェクト単位でKanbanFlowを使っていけたらと思っています。プロジェクトメンバー全員でKanbanFlowを使えれば、
- プロジェクト全体で工数を正確に計上できる。その工数が色んなプロジェクトの見積もり指標に使える
- 各人がどのぐらいの余裕があるか把握できる
- ポモドーロテクニックを使うことで各人の生産性が上がる
など、良いことしか起こらない気がしています。またタスクをMKやバグ改修などのカテゴリーに分ければ、各フェーズでどのぐらいの工数がかかるかの指標になります。
フリーランスの方も是非使ってみてください。僕もフリーランス経験がありますが、フリーだとマジで8時間ちゃんと仕事するのって苦行なんすよね。その点ポモドーロタイマーが「おら! 休憩時間終わりだぞ!」って尻を蹴ってくれるので、気づいたら生産性が上がってたなんてことが起きます。
チームでKanbanFlowを使うにあたって 課題
ただ、チームで使うにはまだ動機付けが足りないと思います。なぜならこれを使わなければならない必然性がないから。Trelloでも同じことが言えますが、ソフト開発者に余計な手間がかかるという点で、相当な利点がなければ使わない人が出てくると思います。gitはないと開発に大きな支障がでますが、KanbanFlowは使わなくてもPMが大変になるだけで、開発者に特に厄災は起こりません。
じゃあ、「タスクは必ずKanbanFlowに登録して各自作業を記録せよ」と規則を作ったらどうでしょうか。PM業の真似事とプログラマー両方経験のある小久保から言わせると、絶対にその規則、破られます。断言します。絶対に破られるし、PM自身もそのうち何も言わなくなります。
それをプログラマー側の怠慢だとは全く思いません。動機付けがないものを無理矢理やって効率を落とす筋合いはないからです。
現状、チームとしてKanbanFlowの必要性を明確に動機付ける解は持ち合わせていません。そのため、個人でKanbanFlowで徹底的に遊び倒し、チームに何らかのメリットを提供できるストーリーができた時点で、徐々に進めていこうと思っています。もし、TrelloやKanbanFlowでいい感じにプロジェクト推進できているよという方がいらっしゃいましたら、公式ツイッター宛にご連絡ください。インタビューさせていただければと思います(記事化したい)。
ちなみに、同じことはTrelloのPomello拡張機能を使ってもできます。が、ちょっと僕には肌が合わず。。。KanbanFlowみたいにグラフ化したり、今日は何ポモドーロ達成したよ!おめでとう!的な導線がないため、ちょっと手が遠ざかっちゃったんすよね。Redmineの作業時間入力機能は更に肌が合いませんでした(あれをちゃんと使ってるプロジェクトを見たことがない)。
というわけで、KanbanFlowってとっても優秀だよ! みんなボードを使ってイケイケ制作会社を気取ろうぜ! という話でした。
本日はここまで!!! (ちなみにこの記事を書くのに5ポモドーロかかりました。疲れた)